鉄骨造、鉄筋コンクリート造の耐用年数ってどれくらい? 法定耐用年数と実際の寿命はどう違う?

マンションやアパートは耐用年数が過ぎると、もう建物の寿命が過ぎてしまっている、とイメージしている人もいるのでは? でも実は、耐用年数=寿命ではないのです。ここでは、耐用年数とは何なのか、一級建築士事務所北工房代表取締役の栃木渡さんに聞きました。


記事の目次


  1. 鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年。でも、実際の寿命は違う
  2. 建物の実際の寿命はメンテナンス次第


鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年。でも、実際の寿命は違う

耐用年数とは減価償却の計算に使われるもの

マンションやアパート、戸建てなどの建物には「耐用年数」というのが設定されています。

「年数は構造によって異なります。
マンションなど鉄筋コンクリート造の建物は47年、アパートや戸建てに使われる鉄骨造の建物は、軽量鉄骨プレハブ造なら19年または27年、重量鉄骨造は34年です。
この年数は減価償却の計算に使われるもので、建物の寿命とは関係はありません」
(栃木さん、以下同)

耐用年数とは「減価償却資産が利用に耐える年数」のことで、正式には法定耐用年数といわれます。
法定耐用年数は住宅などの建物だけでなく、工業用機械、パソコンなどさまざまなものに設定されていて、法定耐用年数が過ぎると税務上の資産価値がゼロになります。
減価償却資産は購入した場合の代金を耐用年数の間、毎年、費用として計上することが可能で、例えば、50万円の減価償却資産の法定耐用年数が5年の場合、5年間にわたって毎年10万円ずつを費用として計上できるのです。

鉄骨造の建物の場合、重量鉄骨造のアパートを建てたとすると、法定耐用年数の34年間に価値は年々下がり、34年を過ぎると価値が0になりますが、その間、アパートのオーナーは毎年経費として計上することができます。
建物の構造による耐用年数の違いは下記の通りです。

軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下 | 19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm超4mm以下) | 27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超) | 34年
鉄筋コンクリート造 | 47年
木造 | 22年

賃貸住宅は付属設備にも耐用年数がかかわる

アパートやマンション等を賃貸住宅として所有している場合、土地や家屋のほかに、ルームエアコン、集合郵便受け、屋外給排水設備、門、自転車置場、ゴミ置場などの付属設備についても固定資産税がかかります。
付属設備ごとに耐用年数が違いますから、詳しくは担当の税理士や最寄りの税務署に相談するといいでしょう。

建物の法定耐用年数が住宅ローン可否の判断材料になることも

減価償却の計算のために設けられている法定耐用年数ですが、中古住宅の購入に影響することも。
「その物件が法定耐用年数内かどうかを、金融機関が住宅ローンの可否や最長返済期間の判断材料にする場合があります。しかし、判断の基準は金融機関によって違います」

つまり、法定耐用年数内であれば融資が受けやすい、と言い切ることはできませんが、住宅ローンを借りて中古住宅の購入をと考えているなら、物件が法定耐用年数内かを気にしておくといいでしょう。

1998年の税制改正で法定耐用年数が短縮

「法定耐用年数が最初に設けられたのは昭和26年。今では使われていない建築材料から割り出されたものでした。その後、建築材料の変遷や建築技術の進化に即して耐用年数は数度の改正がありました」
1998年の改正で、法定耐用年数がどう変わったかは下の表の通りです。マンションなどの鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は60年から47年に変更されています。

■店舗・住宅用建物の法定耐用年数

建物の構造1998年の改正前改正後(現在)
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下) | 20年 | 19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm超4mm以下) | 30年 | 27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超) | 40年 | 34年
鉄筋コンクリート造 | 60年 | 47年
木造 | 24年 | 22年

改正によって、建物の法定耐用年数は短くなりました。
このため、建物を事業に使用している人の場合は改正前であれば法定耐用年数内で今も減価償却の対象だったのに、税務上の資産価値が0になる時期が早まってしまった、ということがあります。

例えば、築27年超の軽量鉄骨プレハブ造のアパートの場合、改正前なら築30年までは減価消却で費用として計上できたのですが、改正後は耐用年数の期間を過ぎてしまっていることになります。

また、築年数が法定耐用年数を超えた中古物件は、金融機関によっては住宅ローンの貸し出しの可否に影響している可能性も。

融資では申し込む人の返済能力や、住宅性能、土地の条件などさまざまな項目で検討されますが、鉄筋コンクリート造は耐用年数が60年から47年と大幅に短縮していますから、ヴィンテージマンションなど古いマンションの購入の際には、築年数が耐用年数内かを気にしておくといいでしょう。


建物の実際の寿命はメンテナンス次第

マンションなら管理組合で適切なメンテナンスや大規模修繕を実施

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年ですが、実際には47年を超えても快適に暮らせているマンションは多くあります。

鉄骨造の建物も同様です。特に近年は、建物の性能が上がってきていることもあり、住宅の寿命はさらに延ばすことができるでしょう。

「どの構造、どの建材を採用した建物なら何年もつ、ということは一概にはいえません。実際の建物の寿命は環境やメンテナンスによるところが大きいからです。

例えば、海のそばに置いてある車は塩害ですぐに錆びてしまいます。家も同様です」
海の近くの家は鉄部が錆びやすかったり、雨の多い地域で屋根や軒の出を少なくしている家は外壁のヒビなどから壁内に雨が浸入しやすかったりします。

また、同じ家でも、直射日光の当たる面は外壁の劣化が早かったりもします。そこで重要になるのが、それぞれの建物に合ったこまめなメンテナンスです。


例えば、古いマンションやアパートでも、メンテナンスがきちんとされていれば、建物の劣化スピードを遅らせて、住み良い住環境を保つことができます。同じ築年数なのに、物件によって状態が違うのはメンテナンスによる差が大きいのです。

「私の身近にも、築40年を超えるマンションで、外側を断熱材で覆う外張り断熱改修を行った物件があります。断熱材によって躯体を二酸化炭素や水から遮断することでコンクリートの中性化が抑制され、建物の寿命を延ばす効果が期待されています。家は買って終わりではなく、戸建てもマンションも、その後のメンテナンスが重要なのです」

ただし、メンテナンスをしていても、建物は少しずつ劣化していくもの。
マンションの場合は管理組合で修繕計画を定期的に見直し、定期点検や、必要な修繕、大規模修繕を適切な時期に行うことで、法定耐用年数とは関係なく、快適に暮らせ、長く住める家になるようにしましょう。

軟弱地盤などの外部からのリスクに注意することも大切

建物の構造などで決められた法定耐用年数よりも大切なのは、地盤などの外的要因。

「全国各地で多くの例があるように、軟弱な地盤で家が傾いたり、大地震で住めない状態になったり。建物そのものの寿命や耐用年数だけでなく、地盤の状態を知って家探しや家づくりをすることが重要です。今はハザードマップで災害が発生したときの危険性が予測できますし、地盤も検査をすることができます。自宅やアパートを建てるなら危険度の高い土地は選ばない、軟弱であれば杭をしっかり入れるなどの対策を考えておきましょう」

まとめ

法定耐用年数は減価償却の計算に使われるもので、実際の建物の寿命ではない

駐車場やゴミ置場などの付属設備にも耐用年数が設定されているので、賃貸住宅を建てる場合は確認を

実際の建物の寿命は、メンテナンスによって違ってくる

●取材協力
栃木渡さん

一級建築士事務所北工房代表取締役、さくら事務所ホームインスペクション北海道代表。公共建築、住宅、店舗の設計やリノベーションを手がける


2019年12月26日現在


不動産セカンドオピニオン ランドプライム株式会社

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